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数学にセンスはいらない。

解けない漸化式の極限とその解き方〜基本編〜

解けない漸化式の極限とその解き方①

今回は例題を先に紹介してから,背景をお話していきます.

例題 (08 岡山県立大・情報工-中)

a_{1}=0,\ a_{n+1}=\dfrac{a_{n}^{2}+3}{4}\ \ (n=1,\ 2,\ \cdots)で定義される数列について,

(1) 0≦a_n\lt1 が成り立つことを,数学的帰納法で示せ.
(2) 1-a_{n+1}\lt\dfrac{1-a_{n}}{2} が成り立つことを示せ.
(3) \displaystyle\ \lim_{n \rightarrow \infty}a_{n} を求めよ.

解答・解説

(1) 数列絡みの不等式証明は帰納法

(i) n=1 のときは成立する.
(ii) n=k での成立を仮定する.
   0 ≦ a_{k}^2\lt1

   3≦ a_{k}^2+3\lt4

   0\lt\dfrac{3}{4}≦ \dfrac{a_{k}^2+3}{4}\lt1
   ∴ 0 ≦ a_{k+1}\lt1
となり,n=k+1 のときも成り立つので,数学的帰納法により示された.

(2) 漸化式を使って左辺から右辺を作る

★左辺が a_{n+1}, 右辺が a_{n} なのでこのままでは扱いづらい.漸化式があるので,これを用いて左辺から右辺を作っていきます.

漸化式を用いて 1-a_{n+1}a_n で表すと,


\begin{align}
1-a_{n+1}&=1- \dfrac{a_{n}^{2}+3}{4}\\
&=\dfrac{1-a_{n}^{2}}{4}\\
&=\dfrac{1+a_{n}}{4}(1-a_{n})\\
&\lt\dfrac{1}{2}(1-a_{n})
\end{align}

∵ (1)より,\dfrac{1+a_{n}}{4}\lt \dfrac{1+1}{4}=\dfrac{1}{2}, 1-a_{n}\gt0

(3)求めにくい極限はハサミウチ

(2)から 1-a_{n}\lt\dfrac{1-a_{n-1}}{2} が成り立ち.これを繰り返し用いると

   
\begin{align}
1-a_{n}&\lt\dfrac{1-a_{n-1}}{2} \\
&\lt\dfrac{1}{2}・\dfrac{1}{2}(1-a_{n-2})\\
&\lt \cdots\\
&\lt\left(\dfrac{1}{2} \right)^{n-1}(1-a_1)
\end{align}

★繰り返し不等式を使って,既知である {a_1} まで n を下げています.不等式を使って,不等式を作っています.そうすることでハサミウチの原理が使えます.

(1) より 1-a_n\gt0 となること,およびと 1-a_1=1 合わせ

   0\lt1-a_{n}\lt\left(\dfrac{1}{2} \right)^{n-1}(1-a_1)

また, \displaystyle\lim _{n \rightarrow \infty}{\dfrac{1}{2^{n-1}}}=0

なのではさみうちの原理が使え,

   \displaystyle\lim _{n \rightarrow \infty}(1-a_{n})=0

   \displaystyle\lim _{n \rightarrow \infty}a_{n}=1

背景

例題のような a_{n+1}=f(a_n) を考える.\left(f(x)=\dfrac{x^2+3}{4} \right)
\displaystyle\lim _{n \rightarrow \infty}a_{n} =α に収束するとすると,
\displaystyle\lim _{n \rightarrow \infty}a_{n+1} =α に収束する.(n を無限大にするからそりゃそうだわな)
つまり,α=f(α)を満たすが存在する.・・・☆
ここで,

   
\begin{align}
a_{n+1}&=f(a_n)\\
α&=α
\end{align}

それぞれ引くと,a_{n+1}-α=f(a_n)-α となる.

右辺を変形して.

   
\begin{align}
\\|a_{n+1}-α| &=|f(a_n)-α|\\
&≦k|(a_n-α)|\ \ \ (0≦k\lt 1)\cdots★
\end{align}

(a 引くと正負が不明なので絶対値とってます)
を満たすを k とる.

これより,

   |a_{n}-α|≦k|(a_{n-1}-α)|

とでき,繰り返し用いると
 (既知のa_1まで繰り返せばハサミウチできる)

   
\begin{align}
0≦|a_{n}-α|&≦k|(a_{n-1}-α)|\\
&≦k\cdot k|(a_{n-2}-α)|\\
&≦\cdots \\
&≦k^{n-1}|(a_{1}-α)|
\end{align}

0≦k\lt 1なのでは k^{n-1}|(a_{1}-α)| で0となり,ハサミウチの原理から

   \displaystyle\lim _ {n \rightarrow \infty}|a_{n}-α| =0 となり

   \displaystyle\lim _ {n \rightarrow \infty} a_{n}=α となる.

ポイント

解けない漸化式は★の不等式を作るのが最大のポイントです.基本的には誘導に従っていけばよいのですが,この不等式を作るが難しいと問題もあるのである程度練習が必要です.

予想

\displaystyle\lim_{n \rightarrow \infty}a_{n} からが予想できます.
α=\dfrac{α^{2}+3}{4} を解くと.α=1,\ 3

(1)で 0 ≦a_{n}\lt 1 を示したので \displaystyle\lim _{n \rightarrow \infty}a_{n}=1

誘導がない場合...

もあります.このときは平均値の定理を用いて不等式を作るというのが定石です.やり方を知っていないと不等式が作れない問題もあるので是非覚えておきましょう.

平均値の定理を使った問題は
解けない漸化式の極限とその解き方〜応用編〜mathchem.hatenablog.com



で紹介しています.