Math Lab

数学にセンスはいらない。

平均値の定理とその使い方

平均値の定理って?

最初に,定義を確認しましょう.
平均値の定理とは,

平均値の定理
   \dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)\ \ (a\lt c \lt b) を満たす c が存在する.


です.これだけだと何を意味するのか分かりにくいと思うので,図を用いて簡単に示していきます.

   

証明

まず,関数 f(x) を適当に描き,2点 a,\ b を図のように取る.

f:id:mathchem:20170309225425p:plain:w320


すると,2点 a, b を通る直線の傾きは \dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}\cdots①

になりますね.

そして,ab の間にこれと同じ傾きを持つ接線を図のように引いてみます.

この接線の傾きを考えます.関数 f(x) の接線なので,f'(x)

接点の x 座標を c とすると f'(c)\cdots②

となります.

①=②なので

   \dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)

このとき,a\lt c \lt b を満たす.(関数によっては,複数接点をもちます)

これが,平均値の定理です.

日本語に言い換えてみましょう.

平均値の定理とは,「2点 (a,\ b) を通る直線の傾きと同じ傾きをもつ接線が,少なくとも1本,ab の間に引ける」
ということです.

平均値の定理は不等式証明の道具

さきほど,平均値の定理を簡単に証明しましたが,この定理を知っているだけではあまり意味がありません.平均値の定理は「直線の傾き」を表わしているだけですから.重要なのは,平均値の定理の使い時です.

覚えておいて欲しいのは,

平均値の定理は不等式証明の道具


ということです.実は平均値の定理は不等式証明で使うのがほとんです.

え?不等式証明?不等式なんてあったけか...と思うかもしれませんが,定理をもう一度見てみると,

平均値の定理
   \dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c)\ \ (a\lt c \lt b) を満たす c が存在する.

そう,不等式 a \lt c \lt b があります.

この不等式 a\lt c \lt b を利用させる問題ほとんどです.


形としては,

  • そのままの \dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}
  • 分母を払った f(b)-f(a)=f'(c)(b-a)\lt k(b-a)

の2通りで,後者が多い印象です.


平均値の定理自体は簡単なのですが,自在に使えるようになるには時間がかかりますが,難関大を目指すのであれば知っておいて欲しい定理です.平均値の定理をしらないと解けない問題も毎年出題されます.


それでは実際に解きながら慣れていきましょう.

例題 不等式証明

(1)  0\lt a \lt b のとき \log b- \log a < \dfrac{b-a}{a} が成り立つことを証明しなさい. 

(14 慶應大・理工/設問削除)

(2) e を自然対数の底とする.e≦p\lt q のとき,不等式
   \log(\log q)-\log(\log p)\lt\dfrac{q-p}{e} が成り立つことを証明せよ.

(01 名古屋大)

(3) a≧b\gt 0 とし,n は自然数とする.次の不等式を示せ.
   a^n-b^n ≦ n(a-b)a^{n-1}

(06 筑波大/設問削除)

  

解答・解説

例題はどれも2変数関数ですね.2変数関数なので一文字固定でも解けるのですが,平均値の定理を使うとすっきり証明できます.

例題はどれも

  • そのままの \dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}
  • 分母を払った f(b)-f(a)=f'(c)(b-a)\lt k(b-a)

後者の左辺が見えます.

こういうときに平均値の定理が有効です.それでは解いていきましょう.

関数 f(x) を設定する

平均値の定理は f(x) で表記していますから,まずは,関数を設定する必要があります.

(1) f(x)=\log x とおく.0\lt a \lt b で平均値の定理を用いると,

f'(x)=(\log x)'=\dfrac{1}{x}より

   
\begin{align}
\dfrac{\log b-\log a}{b-a}&=f'(c)\\
&=\dfrac{1}{c}\ \ \ (a\lt c\lt b)
\end{align}

を満たす c が存在する.よって,

不等式を利用して不等式を作れ

a\lt c \lt b を利用して不等式を証明します.

   
\begin{align}
\dfrac{\log b-\log a}{b-a}&=\dfrac{1}{c}\\
&\lt \dfrac{1}{a}  (∵ (a\lt c))
\end{align}

   ∴ \log b-\log a<\dfrac{b-a}{a}


(2) 例題(1)と同じようにやってみます.
f(x)=\log (\log x) とおき,e≦p\lt q で平均値の定理を用いると,

   f'(x)=\{\log(\log x)\}'=\dfrac{1}{\log x}・\dfrac{1}{x} より

   
\begin{align}
\dfrac{\log (\log q)-\log (\log p)}{q-p}&=f'(c)\\ 
&=\dfrac{1}{\log c}・\dfrac{1}{c}
\end{align}

を満たす c が存在する.e≦p\lt c \lt q なので,

   \dfrac{1}{\log c}・\dfrac{1}{c}\lt \dfrac{1}{e}

   ∴ \log(\log q)-\log(\log p)<\dfrac{q-p}{e}



(3) ラスト!
f(x)=x^n とおき,0\lt b≦a で平均値の定理を用いると,f'(x)=n x^{n-1} より

   
\begin{align}
\dfrac{a^n-b^n}{a-b}&=f'(c)\\
&=n c^{n-1}\ \ \ (b\lt c\lt a)
\end{align}

を満たすが c 存在する.よって,

   
\begin{align}
\dfrac{a^n-b^n}{a-b}&=n c^{n-1}\\
&\lt n a^ {n-1}\ \ \ (∵\ \ (a \gt c))
\end{align}

   ∴ a^n-b^n\lt n(a-b)a^{n-1}

a=b で等号が成り立つので,

   a^n-b^n≦n(a-b)a^{n-1}

まとめ

平均値の定理,いかがでしょうか.定理自体はシンプルですが,いざ不等式証明に使うとなると難しく感じると思います.少しずつで良いので慣れていってくださいね.