Math Lab

数学にセンスはいらない。

相加相乗平均の関係とその使い時

相加相乗平均は数IIでちょこっとやるだけで,それ以降の授業ではあまり出てきません.
気づいたらあれ?なんやっけ??となる子も多いのではないでしょうか.

相加相乗平均を使わなくても微分で求められる問題も多いのですが,

知っていれば楽になることも多いので押さえておきましょう.

相加相乗平均の関係って?

まず,言葉の意味を確認していきます.
n 個の数を全部足した n で割ったものを相加平均といい,
n 個の数を全部かけて n 乗根をとったもの相乗平均と呼びます.

相加(足し算)平均は,日常的に使う平均ですね.しかし,相乗(掛け算)平均は身近ではないでしょう.でも何となくわかると思います.相乗効果とか言ったりしますし.

相加平均と相乗平均には大小があって,それを相加相乗平均の関係(不等式)といい,

一般に,

相加相乗平均の関係
   n_1>0,\ n_2>0, \cdots n_n>0のとき,

      \dfrac{n_1+n_2+\cdots+n_n}{2}≧\displaystyle\sqrt[n]{n_1\cdot n_2\cdots n_n}

   等号成立は n_1=n_2=\cdots=n_n のとき.

が成り立ちます.相加平均の方が相乗平均よりも大きいって覚えると記憶に残りやすいと思います.

教科書では 一般化されたの相加相乗平均の関係は取り上げれておらず,扱われるのは2数のときで,

相加相乗平均の関係
   a>0,\ b>0のとき,

      \dfrac{a+b}{2}≧\displaystyle\sqrt{a\cdot b}

   等号成立は a=b のとき.

2数の相加相乗平均の不等式の証明はできるようにしましょう.

二乗してルートを外して少し整理すれば証明できるので,自分でやってみてくださいね.

相加平均と相乗平均,どっちが大きいかよくわからんくなることがあるので,あれ?どっちだっけかってなったら証明してみてくださいね.

どんな時使うの?

それでは,使い時を整理して行きます。
公式だけ知っていても意味はあまりないので,どんな時に使うのかをしっかり覚えておきましょう.

最大・最小値問題,不等式証明問題で,「逆数の和の関係」があるとき

です.大学入試問題は,最大・最小値問題,不等式証明問題は本当に沢山出題されます.相加相乗平均の関係を使わせる問題もしばしば出題されています.

特に,逆数の和の関係が出てきたときに有効です.なぜ有効なのか.

例えば,何かの最小値を求めよ,という問題があって,計算を進めていったら,

   \displaystyle a+\frac{1}{a}\ \ (a>0)

という式が得られたといましょう.この式は,逆数の和の関係なので,相加相乗平均の関係を使うと,

   \dfrac{a+\dfrac{1}{a}}{2}≧\sqrt{a\cdot \dfrac{1}{a}}=1

   ∴ \displaystyle a+\frac{1}{a}≧2

よって,求める最小値は 2 となる.

そう,相加相乗平均の関係はルートの中身が積の形なので,逆数の和の関係だと,文字消去できて値が求まるのです.

だから,逆数の和が見えたときには,相加相乗平均の関係が有効なのです.

では,実際に問題を解きながら理解を進めていきましょう.

例題 最大・最小値問題

(1) a>0,\ b>0 のとき,\left(a+\displaystyle \frac{2}{b}\right)\left(b+\dfrac{8}{a}\right) の最小値と,このときの ab を求めよ.
(2) a>1 のとき,\displaystyle \frac{a-1}{a^{a}-2a+5} の最大値と,このとき aを求めよ.


解答・解説

(1)
   
\begin{align}
\left(a+\frac{2}{b}\right)\left(b+\frac{8}{a}\right)&=ab+\frac{16}{ab}+10\\
&\geqq 2\sqrt{ab\cdot\frac{16}{ab}}+10=18
\end{align}

であり,等号は,ab=\dfrac{16}{ab}\ \ ∴\ \ ab=4のとき成り立つ.

よって,\left(a+\displaystyle \frac{2}{b}\right)\left(b+\dfrac{8}{a}\right) の最小値は18であり,このとき a b=4 である.

逆数の和は相加相乗平均を疑え

最大値・最小問題ですね.このままではやりずらそう?なので,まずは展開してみます.2変数なので,2変数の最大最小も思い浮かびますが,

式をよくみると,ab,\ \dfrac{16}{ab}逆数の和が見えます.こういうとき,相加相乗平均が有効なんです.相加相乗平均の関係から不等式が作れるので,最小値を求めることができます.

そして,最大値最小値問題で,相加相乗平均を使ったら,必ず等号成立を確認しましょう.等号が成り立たなければ,最大値・最小値とはいえませんから.



(2)  a>1 のとき,t=a-1 とおくと,t>0 であるから,

   
\begin{align}
\frac{a-1}{a^2-2a+5}&=\frac{a-1}{(a-1)^2+4}\\
&= \dfrac{t}{t^2+4}\\
&=\dfrac{1}{t+\dfrac{4}{t}}\\
&\leqq\dfrac{1}{2\sqrt{t\cdot\dfrac{4}{t}}}=\dfrac{1}{4}
\end{align}

であり,等号は,t=\dfrac{4}{t}\ \ ∴\ \ t=2\ \ ∴\ \  a=3のとき成り立つ.

よって,\displaystyle \frac{a-1}{a^2-2a+5} の最大値は \displaystyle \frac{1}{4} であり,このとき a=3 である.

塊を意識せよ

(2)は少し工夫が必要です.このまま最大・最小問題の解法を考えると分数関数なので微分法になります.しかし,数Ⅲの微分法が必要になってしまうので,ここでは工夫して微分を避けてみます.

数学では,塊を見つけることで,楽になることが多いです.今まで勉強してきても実感したこともあるのではないでしょうか.ここでも塊意識することで,逆数の和の関係 t,\ \dfrac{4}{t}を作り出しています.そして,相加相乗平均の関係に持ち込んでいます.こうすることで微分よりもぐっと楽に最大値を求めることができます.

まとめ

相加相乗平均の関係,理解は進んだでしょうか.自在に使えるようには少し演習が必要な所だと思います.

相加相乗平均の関係は最大最小,不等式証明の道具として持っておいてください.出題頻度はそこまで多くないですが,難関大を狙うのであればしっかりと整理しておきましょう.