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数学にセンスはいらない。

通過領域とその解き方

通過領域とその解き方

通過領域の問題は,東大・京大・旧帝大をはじめとする難関大で頻出です.難関大志望者は必ず押さえておきたい分野です.

通過領域の解法は次の2つです.

  1. 文字定数の存在条件を求める
  2. 変数 x を固定して 文字定数を動かす

 問題によって,使いやすい方を選択していきます.理解を深めるためにも最初は両方の解答を作る練習をしていくと良いでしょう.
 通過領域、正直難しいとです.僕は理解するのに時間がかかり,使えるようになるまでもさらに時間がかかりました.でも,必要な知識は基本的なので,少しずつ理解を深めていきましょう.解説を読み終わった後になんだ、「そういうことか!!!」と納得してもらえたら嬉しいです.
 少し長くなりますが,お付き合いください.それでは一緒に解いていきましょう.

例題

 k を実数とする.直線 Ly=kx+1-k-k^{2} とする.
(1) 直線 L が点 (2, 1) を通るような k の値を求めよ.
(2) k の値が実数全体を動くとき,直線 L が通る範囲を求め,図示せよ.

(06 岐阜聖徳学園大)

解答・解説

    L:y=kx+1-k-k^{2}\cdots①

(1) 何を意味するのか,が大切です.
答えを出すだけなら何でもないですが,問題が何を意味するのか,わかりますか?

 L が点 (2, 1) を通るので,①に代入すると

   1=2k+1-k-k^{2}
   k^{2}-k=0  ∴ k=0, 1

(2, 1) を通るとき, k=0,\ 1 となる.

では、これが何を意味するのか.

 ①に得られた k を代入すると,

    y=1,\ y=x+1-1-1^2=x-2

という直線の式が2つ得られます.

これを言い換えると,「点(2, 1)を通るの2直線  y=1,\ y=x-2 が存在する

ということです.ここの理解大切です.


(2) 通過領域はこう解く!!!
(1)では,具体的に (2, 1) を通る直線を求めました.(1)の誘導を踏まえると,(2)では何を聞かれているのでしょうか.

もう一度読んで見みると

 「k の値が実数全体を動くとき,直線 L が通る範囲を求め,

とあります.これは次のように言い換えることができます.

   「実数 k が存在する全ての直線 L を求めよ!

んー?よくわからんなーという人もいると思うので,もう少し具体的に考えてみます.
 (1)では (2,\ 1)を通る実数 k が存在しました.でも,実は実数kが存在しない点もあるんですよね.
 例えば (1,\ 2) を代入してみると,

   2=k+1-k-k^2
   k^2=-1
 
となる.でもこれを満たす実数 k は存在しませんよね.(虚数なら i ですが...)つまり,(1,\ 2) を通る直線 L は存在しないということです.問題は「実数 k」が動くときって言っているので, 実数 k が存在しないとダメなんです.つまり,実数 k が存在するような点を全て調べる必要があるのです.でも(1)のように1点1点代入して調べることなんて到底できませんからから点を (X,\ Y) と置いて実数条件に帰着させて解いていきます.


(X, Y) を通るような直線が存在する条件は,①により,

   Y=kX+1-k-k^{2}

   k^{2}-(X-1)k+Y-1=0

を満たす実数 k が存在することなので,判別式から

   (X-1)-2-4(Y-1)≧0
   ∴ Y≦\dfrac{1}{4}(x-1)^2+1

よって,求める範囲は

   y≦\dfrac{(x-1)^{2}}{4}+1

となります.


(1)で具体的に代入した (2,\ 1) が範囲にあることも確認できます.また,(1,\ 2) は範囲外というもの確認できますね.これが最初の解法紹介のところで書いた

文字定数の存在する条件を求める

解法です.なんとなく意味がお分かりいただけたでしょうか.一回だけではすっと理解するのは難しいかもしれません.まずは使ってみてください.使っていくうちにだんだんと理解も深まっていくはずなので.



では,2つめの解法を紹介します.

変数 x を固定して文字定数を動かす

例題の解き方では,誘導に従い,具体的に座標の点を代入していきました.逆に「k」に具体的に実数を入れても調べることができるはず.(1)で求めた k で考えてみます.

k=0 のとき, y=1, k=1のとき \ y=x-2 という直線が存在する.

(1)の誘導がなかったら実数 k に代入する方が自然かもしれません.これも前半の解法と同様,k に1つ1つ代入していくことなんてできません.そこで,文字定数 k変数としてとらえ関数の処理をします.①式で x,\ k も変数とすると2変数になってしまいますから,変数 x を固定し,kの一変数関数ととらえます.(2変数関数の基本:一文字固定)すると,①は k の二次関数となり,平方完成すると,

   y=-\left(k- \dfrac{x-1}{2}\right)^{2}+\dfrac{(x-1)^{2}}{4}+1

従って,y の最大値は \dfrac{(x-1)^{2}}{4}+1 なので,

y の範囲は,y≦\dfrac{(x-1)^{2}}{4}+1

よって,求める通過領域は

   y≦\dfrac{(x-1)^{2}}{4}+1

となる.


 実際に k を変化させたときの様子を載せておきます.
kを-15〜15 まで変化させています.求めた解答のような二次関数になりました.

   f:id:mathchem:20170304150325g:plain





長くなりましたが,以上です.

通過領域の解法
文字定数の存在条件を求める
変数 x を固定して文字定数を動かす

通過領域について理解は深まったでしょうか.両方使えるよう,他の問題にもチャレンジして少しずつ理解を深めていきましょう.

入試問題にチャレンジ

是非解いて欲しい入試問題を用意しました.余力のある人はチャレンジしてみましょう.
www.math-lab-k.com
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